疾患の種類を病理学的に分類すると、先天奇形、変性、蓄積、炎症、腫瘍、アレルギーそして外傷などとなります。
そのうち後天的病変の代表は、炎症・腫瘍とアレルギーでしょうか。
そして、それぞれの症状である“現在症”たとえば熱、咳、痛み、嘔吐、倦怠感などは異常現象ではありますが、病変が生じている警告であり、すでに修復がはじまっていることを示す防御反応なのです。したがって、症状によって二次的に体力低下をきたし、悪循環に陥る可能性がなければ、症状を緩和する治療、例えば解熱・鎮痛剤や下痢止めなどは必ずしも必要ではありません。皮膚の切り傷は血液が固まってふさがり、汚染がなければ5~6日で治ってしまいます。手術のような大きい傷は縫いますが、傷口がずれたり、再開したりしないように固定しているだけで、傷そのものの修復は生体がおこなっています。
多くの薬物治療や放射線治療も原理は同じです。実は全ての生命体が同様の復元能力を有しています。
この本来的に備わっている固体保全能力には驚嘆し、敬意を払わざるを得ません。
そして、営々と積み重ねられてきた医学の進歩です。おかげで病気や外傷による不快な期間は明らかに短縮され、生命予後は自然のほぼ2倍にまで延長されました。いわゆる先進・文明社会における医学進歩の恩恵は計り知れません。
ところが、人間はあくなき欲望によって、さらなる生命の延長や快楽を求めてとんでもない努力を重ねています。
しかも、特定の分野ではその過程でむしろ生命を短縮する副産物も作り出していることをご存知でしょうか。
今では望むべくもありませんが、文明以前の原始的生活をしていた祖先と今の自分を比較したとき、人格的進歩あるいは幸福感の向上がはたしてあるのでしょうか。
そろそろ欲望の追求を止めなければ、人間を含めた多くの割合の生物が命を縮めることになる環境の悪化を、取り返しのつかない段階にまで進めてしまいます。
先ず現状をきちんと把握し、分析・熟考することに取りかかってください。その上で、あなたは今後さらに進歩することを望みますか?それとも現状維持あるいはあえて退行することを望みますか?退行するとしたら、どの時代まで戻りたいと思われますか?
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