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施設長コラム

排泄物診断学

人間は昔から生きるためだけでなく、健康増進のため、美容のため等と称して、食物の内容について
研究と開発を重ねてきました。しかるに、体調を知る上で排泄物がいかに大切で、多くのことを教えて
いるかということについてはほとんど注意を向けないできました。
医学書にはその重要性が書かれていますが、認識が低く、きちんと伝えてこなかった医師の責任も大きいでしょう。

[1]大便
“快食快便”とは美味しくいただいた物が一両日のうちにきちんと出ることです。
“満腹排便反射”という自然の仕組みにしたがえば、朝食後数十分から1時間の間に最も出やすくなるので、
毎朝きちんと”儀式”を済ませてから登校あるいは出勤をしてください。
幼児期からしっかり習慣付ければ一生腹部膨満を知らずに過ごせます。
そして、出たものの性状を、充分消化されているか、適度な硬さか、香りは良いか、出血はないか等と
確かめたうえで「ご苦労さまでした」とお礼を言ってから流しましょう。
自分だけではなく、子供やお年寄りの体調を推測するのにも有用ですので、子供にお礼の習慣をつけてやりましよう。

[2]ガス
食物と一緒に飲み込んだ空気と、腸管内の発酵によって発生したガスの両方で、誰でもたまります。
飲み込んだ空気が胃内に留まっている問であれば”げっぷ”として戻ってきますが、大半は下から出ます。
匂いが強い場合は食物特有のものと、消化が不充分で腸内発酵がさかんな場合とがあります。
そんなときは一時消化の良い物を少なめに摂って腸を休ませてやる必要があります。
便秘の際の腹痛の多くはガスによる鼓腸が原因です。かなり強い痛みでも、軽くマッサージすれば
痛む部位が容易に移動することで判ります。

[3]小便
回数は1日5~8回、成人の一日量は「体重(Kg)x24(m1)以上」、2歳から10歳の小児はこの式に
さらに「2」を掛けた量です。正常な尿は無菌です。
回数や量が少なすぎないか、逆に多すぎないか、血液が混じっていないか、濁っていないか、
排尿の際痛みを伴わないか、終わってもまだ残っている感覚はないか等が注意点です。
色の濃淡は膀胱内に留まっていた時間の影響があるので問題視しません。
多くの臓器のホルモン分泌、様々な物質や薬物の代謝過程および終末産物等を調べる
検体として極めて重要です。

[4]呼気
呼気は炭酸ガスだけでなく、非常に多くの水分とガス化する物質(代表はアルコール)を含んでいます。
“不感蒸泄”という言葉をご存知でしょうか。その大部分を占める二っの要素は”呼気”と”汗”です。
蒸気発散による放熱という役割も負っています。激しい運動をすると口呼吸になりますが、換気だけでなく
放熱も多くする必要があるからです。
汗腺のない犬を思い浮かべていただけば納得しやすいでしょう。

[5]汗
成分は水と塩分です。ですからたっぷり汗をかいたあとには、スポーツドリンクや補水液として市販されている
一定濃度の塩分を含んだ水分を補給する必要があります。
発汗の主作用は放熱と皮膚の保護ですが、ガス化物質の放出も行っています。にんにくや生の玉葱を多く
食べた翌日のシャツの臭いをかいでみてください。
余談ですが、汗よりも濃い塩分を喪失する嘔吐や下痢の際には、私たちの身近には”味噌汁”という”理想的な
電解質液”があることを覚えておくと良いでしょう。

以上に述べた排泄項目は全て自律神経によってコントロールされており、心理的な影響を受けやすいので、
どの項目も不調や変調の際にはその時の心理状態をも考慮する必要があります。


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