施設長コラム

心波

以前の本欄で「進化した未来人は言葉ではなく”考波”あるいは”心波”といった媒体で
意思疎通を行うようになるかもしれません。」と書きました。実はあれは故なき空想ではありませんでした。
日本では昔上流社会には”陰陽師”という職業があり、民間には”いたこ”と言って
死者の意向を遺族に伝える人たちがおり、後者は現在でも活動しています。
また、西欧では旧約の時代から”霊”の存在が認められています。
身近には”虫の知らせ”とか”夢枕に立つ”という話を聞かない人はいないでしょう。
現代はこれらの現象は特別な感性の持ち主か、またはすでに”心波の遺伝子”を持っている人にだけ
生じています。実はこの遺伝子はまだ準備段階ですので、地下に潜行していて拡大がゆるやかですが、
ひとたび”優性”を獲得した時点では拡大を阻止することはできません。人の脳に内在して、
携帯電話よりもはるかに利便性の高いものなので、瞬く間に臨界点を越えて爆発的に広がり、
携帯電話にとって代わるでしょう。ただ、そうなる前に対策を講じておかなければならない重要な問題があります。
それは現在の携帯は”受信拒否”あるいは”非通知”にしておけば受け取らなくてすみますが、”心波”はそれができません。
従がって、聞きたくない、あるいは知りたくないことも全て知らさてしまいます。
また逆に、心に浮かんだ他人には知られたくない事柄でも、当の相手だけでなく、
不特定多数の人に知られてしまうことです。ですから、知らされた情報の内容をきちんと消化して、
常に心の平衡を維持できる精神力を養っておかなければなりません。
一方では自分自身をよこしまな考えや過剰な欲望が浮かんでこない人格に造り上げる修養が必要です。
そうすることによって、言いにくいことの告白とか、携帯を再生して虚言を覆す裁判などは不要になるでしょう。
そして、人類の終末期には清廉で純真な魂だけの地球になっており、
地球上がそのまま天国になることでしょう…?!?!?


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