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施設長コラム

不安とは


良くないことが起きる可能性を予測して、回避する方策を立てることは誰でも日常的に
行いますが、予測結果にとらわれて極端な心配をするのは無意味であり、無益なことです。
平静な状態であれば笑えるはずの、現実にはまだ起きていないことについて、望ましくない
結果を予想する思考過程にはまって、出られなくなった状態が”不安”なのです。
不安の原因は大別すると次の3種類に分けられます。

A 自分の存在が脅かされる不安
・直接生命を奪われる 
・経済的に破綻する 
・食料を絶たれる
・衣住を奪われる

B 人格あるいは能力を否定される不安
・無視される
・近親者と引き離される
・集団からはずされる(村八分)
・受け入れられない、あるいは、不要とされる(解雇)

C 要求に応じることができない不安
・自分の進むべき方向が判らない
・期待に応えられない

振り返ってみたとき、どうしてあのような考えにとらわれていたのか判らないと、
自分がはまっていた理由を説明できない人がほとんどです。しかし、その時点では不安が
不安を呼び、蟻地獄に落ち込んで、自力では脱出困難になるのです。また、始末が悪いのは
不安は伝染しやすく、集団が感染すると紛争の火種となり、大きなエネルギーを生むことです。
地球上の紛争の大半の原因は不安の煽動だと考えられている所以です。
もともと”思い込み”をしやすい性格があるようですが、体力と気力の著しい低下によって、
人は誰でも悲観壕に落ち込む可能性があります。抜け出すのには思考回路を入れ替えねばならず、
相当の時問を要します。蟻地獄にはまっている自分にいかに早く気付くか、日頃からの脱出想定
訓練が大切です。 即ち要求されている期限までの時間的距離を測る習慣を養うこと、そして、
自分の現在の状態や窮地に陥った経過等を”書いてみること”です。
活字にして眺めることによって、現状を客観的にとらえることができ、
打開の方向や方法が見つけやすくなります。勿論、相談できる人があれば更に良い解決が得られ、
不安解消になるでしょう。不安による心身の消耗は強烈ですので、早く自分なりの脱出法を
見つけて省エネを図りましょう。また、日頃から現状を”絶対保守しなければならない状態”と
思い込まない柔軟性を養っておきましょう。


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