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施設長コラム

結婚とは


これまで聞き、読み、考えた内容と、一度しかない乏しい経験をつき合わせて得た印象を述べてみます。
先ず、“二人が出会い、惹かれあう”とは、お互いに相手の中に“自分を受け入れてくれる可能性”を見出しているということであり、自分にとっての利用価値を優先して選定しています。ところが、“結婚するとは、共に同じ方向に向かって歩き続けるという約束をし、終生守る”ということであり、いつまでも“向き合い、見詰め合って暮らすことではない”ので、双方がこの点をきちんと認識し、自覚していなければなりません。
ただし、二人の間には非常に重要な前提条件があります。このことは至極当然で、誰でも口にしますが、忘れがちであり、忘れると痛い目にあいます。
それは、“二人にはほとんど共通点がない”ということです。大きな相違点を少しあげてみると、“性別、性格、体力、生育環境、価値基準、思考過程、人生あるいは家庭の理想像、物心両面の満足度”などです。それぞれの項目についてじっくり考えてみてください。これだけ違いのある二人が生涯一緒に暮らすということがどれだけ大変なことか、そこには意識的、無意識的を問わず、“妥協と協調”が不可欠の条件であることを事前にきちんと認識している必要があります。
結婚当初の“ほんわかとした時期”を過ぎると、これらの相違点が徐々に見えてきて、“この人はこんな面も持っていたのか”と思い、やがて“こんなはずではなかった”と思うようになります。結婚前に前提条件をどれだけ認識していたかによって、この“思い違い感”の強さは異なります。
その時点でお互いが感じている“期待との相違点”をぶつけ合って、了解しあうことができれば、一段と深い結びつきが得られます。逆に双方または一方の忍耐力あるいは包容力が乏しい場合は決裂してしまうことになります。
即ち、これだけ多くの違いをもつ二人が終生添い遂げることが極めて尊く、奇跡的なことなのです。そして、一緒に暮らすことによって、無意識のうちに、“お互いを高め合っている”ことも忘れてはなりません。
人生の終盤に「いろいろあったけれど、一緒に暮らしてよかったね」と言い合えるのが理想像でしょうか。
ご自分のイメージあるいは体験と照らし合わせて、ご判読ください。


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