広辞苑によれば、
堪忍とは
1)耐え忍ぶこと。
2)怒りをこらえて他人の罪や過失を許すこと。
3)経済上の負担力。
等と説明されています。
“成る堪忍は誰もする。成らぬ堪忍、するが堪忍”と教えられるような”積極的な堪忍”と、
思考も力も及ばず耐えるしかない”消極的あるいは受動的な堪忍”があります。
積極的な場合には対象となる人物あるいは事象を充分把握して、その成否をある程度予見できている
から耐え抜くことが可能なのではないしょうか。さらには、予測される事態とは異なる、多くの場合
は超越した立場ないし観点に立っていられる場合に可能と言えるかもしれません。そして、内心耐え
ることに喜びを感じ、場合によっては感謝の念を持っているかもしれません。
それに反して、消極的な場合とは、思想・宗教の弾圧や敗戦の捕虜などのように、全く不同意または
不本意ながら屈服せざるを得ない状況に置かれていると考えられ、強い屈辱感を抱き、再起できれば
復讐したいとさえ思う可能性があります。
そこで、思い浮かぶのは「汝、右の頬を打たんとする者あらば左の頬も差し出せ」、とか「汝の敵を
愛せよ。」という聖書の言葉です。”耐え忍ぶことによって得られる喜びがある。さらに、耐え忍ぶ
姿を相手に見せることによって、相手を回心させることができる”というのです。
言うは易く、行なうは難しの典型といえる心理状態で、次元の異なる精神世界に住んでいるように感
じます。ところが、凡人にもそのような心境に到達することが可能だと教えているのです。
自分一人でただ我慢するというのではなく、”誰かのために”とか、”子孫に残してやるために”となれば
容易に、場合によっては喜んで耐えることができるでしよう。
また、自己鍛錬のために”耐えること自体を目的”とした、いわゆる”修行”も喜びのうちに行えるでしょう。
附言すれば、人生全体を修行の場ととらえることによって、あらゆる銀難を鍛錬あるいは試練と見倣す
ことができ、積極的且つ能動的な一生を送ることができると考えますが絵空事でしょうか。
若者よ、徹底した楽観主義者たれ!
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