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施設長コラム

近代都市が廃墟と化す日


皆さんは、平成24年10月に熊本県が多目的ダムの一つ【荒瀬ダム】を修復不能と見做し、
解体作業を開始したことをご存知でしたでしょうか。また、その直ぐ後で、国土交通省が、
早急に修理が必要な橋が全国で230箇所以上あると発表しました。
従来、日本建築学会が定めていたコンクリート構造物の耐用年数は65~100年でしたが、
日本が戦後営々と築いてきた道路、都市、橋、ダム、トンネルなどが早いものは、
建造から70年を超えます。世界中の近代都市が同様に、ある時一斉に改築を要する時期
を迎えます。すなわち、ベビーブームから団塊世代と呼ばれる状態は人間だけではありません。

そして、時代を追うごとに、経済的優位性を競って高い建物を造ってきましたが、
いざ壊すとなれば工法は簡単ではなく、ピンポイントで破壊するだけなら”9.11”のジェット機
が一番でしょう。あるいは、50年ないし100年手入れせずに放置して自然崩壊にまかせて
おいてから再開発すれば安上がりかもしれません。
居住に適した利便性のいい場所に建築した現在の都市を放棄せざるを得なくなったとき、
山に登って”マチュピチュ”を再現するか、地下にもぐるか。はたまた、一度は放棄して、
限界集落となっている山間地へ再び戻らざるを得なくなるでしょうか。
また、近代都市と設備を建設する為に要した資源とエネルギーを考えた場合、太陽光、
風力や地熱を利用すればエネルギーは確保できるとしても、資源は有限であり、枯渇する
ものもあれば、代替品にせざるを得ないものもあるでしょう。そうなれば、国家間の資源
獲得競争はいっそう熾烈となり、地球規模で、”食・住”の配分を考えなければならなくなり
ます。
未来においても、人口建築物はいずれ必ず崩壊することを考えて、洞穴を探すか、岩山を
くり貫いてすむことにすれば、災害に強く、しかも天然の冷暖房完備で快適であるかも
しれません。

数世紀前の人々が現代の姿を予測できなかったと同じように、私たちも子孫の苦労を
今日実感としてとらえるのは困難です。しかし、利便性を追求した結果を代償する責任は
果たさなければならないように思いますが如何でしょう。


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